法律では、「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。」と決められています。「次に掲げる事項」とは、何時から何時まで働くのか、休みはいつなのか、給料日はいつなのか、というようなことです。つまり、就業規則を作って「どういう条件で働くのか」をはっきりさせておきなさいというわけです。
でもこれは、「条件」であって「ルール」ではありません。

会社のルールとは、「どのように働くのか」ということのはずです。例えば、「9時から仕事を始められるように出社する」「その日やると決めた仕事は必ず最後までやる」「連絡事項はすぐに伝える」「話を聞くときはメモを取る」「帰る前にやり残した仕事はないか確認する」など、こうした「働き方の習慣」こそが「ルール」です。
確かに、就業規則が会社の業績を左右したりはしません。会社の業績を左右するのは、個々人の「行動」でしかないからです。ところが、「行動」の大半は無意識の中で行われるため、なかなか意識して変えられるものではありません。「行動」を変える唯一の方法は、「習慣」を変えることです。会社のルールを取り決めた就業規則は、その「習慣」に働きかける重要なベースとなります。社内の「働き方の習慣」を高めることに大きな役目を果たすのが、就業規則の本来の姿なのです。
Q1:就業規則は必ず作らなければならないの?
アルバイトやパートを含めて、従業員が10人以上の場合に就業規則を作成して届け出る決まりです。ただし、これは法律上の問題で、就業規則の本来の役割を考えた場合、9人から10人になったらいきなり必要になるということはあり得ないはずです。10人未満であっても、社内に浸透しやすい時期からの作成をお勧めします。
Q2:就業規則は従業員に見せなければならないの?
就業規則は従業員に見せなければならない決まりです。せっかく就業規則を作っても、従業員が知らなければルールは徹底されず、無意味なものになってしまいます。
Q3:就業規則は従業員の同意が必要なの?
就業規則を作ったり変更したりする場合は、従業員の代表者から「意見」を聴かなければならない決まりです。「意見」を聴くだけで「同意」は必要ありません。ただし、従業員にとって大きく不利になるような変更をする場合は、個別の「同意」が必要になります。