給与計算とは?

給料の計算は、実はとても複雑な業務です。それは、本来であれば従業員が自分で納めるべき税金や社会保険料などを給料から差し引いて、会社が従業員の代わりに国に納めるという仕組みになっているからです。最初に給料から差し引くので、こうすれば国は取りっぱぐれる心配がありません。「源泉(元から)徴収(取り立てる)」とはよく言ったものです。

給与計算は、簡単に言えば「支給額」から「控除額」を差し引いて、従業員の「手取額」を計算するという作業です。いつも同じ金額であれば簡単な話ですが、「支給額」は欠勤や残業などがあれば毎月変わりますし、「控除額」も税金や社会保険料が頻繁に変わるなど、常に気を使わなければなりません。
給与計算を行う上で一番大事なことは、「計算のルールを決める」ということです。欠勤した場合はどういう計算で差し引くのか、残業代はどう計算するのか、1円未満は四捨五入するのか切り捨てるのか、そういったルールを取り決めておけば、「前と計算が違う!」ということもなくなります。

給料日は大切な日.jpg

給料日は、従業員が「この会社で働いている」ということを最も意識する瞬間でもあります。その瞬間に、もし給料の計算が間違っていたりしたら、せっかく最も嬉しい日のはずが最悪の日に変わってしまいます。給料を受け取る感謝よりも、会社への不快感や不信感を印象付けられてしまうのです。

給与計算は、その業務自体が直接的に利益を生むわけではないが故に、単なる社内の事務作業と思われがちですが、1円の間違いで会社の信用を失いかねない、非常に重要な業務なのです。

Q1:給料は現金でも振込でも良いの?
給料は、原則として現金で支払う決まりですが、従業員の同意があれば本人名義の口座への振込でも良いことになっています。

Q2:遅刻や欠勤したときは、給料をカットしても良いの?
遅刻や欠勤などで働いていない時間分の給料は、もちろん支払う必要はありません。ただし、5分の遅刻を30分の遅刻としてカットするようなことはできません。

Q3:どうして社会保険労務士が給与計算業務を行うの?
給与計算は、社会保険労務士が取り扱う社会保険や労働保険の手続きと密接な関係にあります。給料に変更があった場合や賞与を支給した場合には社会保険の届出が必要になりますし、労働保険料の申告なども給料の金額をもとに計算します。また、諸手当の支給や残業代の計算方法などを決める給与規程の作成も社会保険労務士の専門分野ですので、社会保険労務士は給与計算と非常に相性が良いのです。