労働保険とは?

「労働保険」とは、「労災保険」と「雇用保険」のことです。どちらも従業員のための「国」の保険なので、原則として社長などの役員は入ることができません。

「労災保険」は、従業員が通勤中や仕事中にケガなどを負った場合の治療費や生活費を補償するための保険です。治療費は全額(通勤中の場合は200円本人負担)、ケガなどで仕事を休んだ場合は給料の約80%が休業補償として労災保険から支給されます。その他にも、障害が残った場合の障害補償、死亡した場合の遺族補償などがあります。
「労災保険」は、労災事故に遭った従業員の生活を守るための保険なので、会社が労災保険に入っていなかったとしても、従業員は労災保険の補償を受けることができます。その場合、会社は「国」に対して労災保険から従業員に支払われた金額を支払わなければならなくなります。

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「雇用保険」は、従業員が退職した場合に失業保険を受け取るための保険です。その他にも、60歳以降に給料が下がった場合の高年齢雇用継続給付、育児や介護で会社を休んだ場合の育児休業給付や介護休業給付などが「雇用保険」から従業員に支給されます。

Q1:労働保険には必ず加入しなければならないの?
労災保険は、アルバイトでも従業員を雇えば加入する決まりです。
雇用保険は、1週間に20時間以上働く従業員がいる場合に加入する決まりです。
どちらも、会社か自営業者かを問いません。

Q2:労働保険料はいくらぐらいなの?
労災保険料は業種によって異なり、会社が全額支払います。(卸売・小売業で給料の0.35%)
雇用保険料は給料の1.35%で、会社が0.85%、本人が0.5%を支払います。(建設業以外)
例)給料20万円(卸売・小売業)の場合 ※H26年度
(年額)労災保険料8,400円、雇用保険料32,400円(会社28,800円、本人12,000円)

Q3:すべての従業員を労働保険に入れなければならないの?
労災保険は、給料を支払っている従業員全員が対象です。また、社長などの役員は、「特別加入」という方法で労災保険に入ることもできます。
雇用保険は、1週間に20時間以上働く従業員が入る決まりになっています。

Q4:労働保険に加入すると、どんな手続きが必要になるの?
主に、次の手続きが必要になります。
保険関係成立届 会社が初めて労災保険に加入する場合に必要な手続きです。
適用事業所設置届 会社が初めて雇用保険に加入する場合に必要な手続きです。
資格取得・喪失届 従業員が入退社した場合に必要な手続きです。
離職票の作成 従業員が退職後に失業保険を受け取るために必要な手続きです。
年度更新 年1回7月に労働保険料を計算するために申告が必要な手続きです。
労災保険給付請求 休業補償などの保険給付を受け取るために必要な手続きです。